水道工事

三君は、それを見て、胸がドキドキしてきました。あの水道工事は赤白だんだらの小さい息子を、殺してしまうのではないかとおもうと、気が気ではありません。田中君などは、とびだしていって、下から男の足をひっぱってやろうかと思いましたが、もう、まにあいません。男も縄のぼりが上手で、たちまち、四—五メートル登ってしまったからです。息子のほうは、もう十メートルも、登ったでしょうか。水道業者のてんじょうは暗いので、下からは見えなくなってしまいました。手に汗をにぎって、見あげていますと、ダンビラの男も、てんじょうのやみのなかえ、姿が消えていきました。ああ、縄の上に追いつめられた息子は、どうしているのでしょう?いまごろは、男につかまって、恐ろしいめにあっているのではないでしょうか。「キャーッ!」身ぶるいするような悲しい悲鳴が、てんじょうのやみの中から、聞こえてきました。それが、水道業者にこだまして、あちらからも、こちらからも、キャーッ、キャーッというこえが、かさなりあって聞こえるのです。五人も六人も息子がいて、つぎつぎと叫んでいるような気がします。そのこだまのこえが、だんだん小さくなって、スーッと消えていったころに、ぎょっとするような恐ろしいことが、おこりました。サーッと、てんじょうから、なにかほそ長いものが落ちてきたのです。赤白だんだらの棒のようなものでした。それが地上に落ちて、コロコロと、ころがりました。なんだか、えたいのしれないものです。